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東京都防衛協会は、防衛意識の普及高揚を図るとともに、自衛隊を激励支援してその充実発展を助長し、わが国の平和と繁栄に寄与することを目的とした民間の組織です。

TEL. 03-6280-8427

〒162-0844東京都新宿区市谷八幡町13東京洋服会館9階

防衛参考(防衛サロン)防衛私観・防衛サロン・投稿

●平成28年7月1日から、東京都防衛協会は、全国防衛協会会報から独立して「東京都防衛協会会報」を発刊しています。各地区協会に係わる記事は、それぞれの地区紹介各ページに掲載し、ています。
●防衛協会会報の東京都関連記事記事を、会報の号ごとに掲載しています。なお、各協会に関連する記事は、地区紹介ページにも併せて掲載しています。

平成29年 平成30年 令和元年 令和2年 令和3年
 
令和3年 第21号(03.07.01) ●防衛サロン(「防衛の礎」つれづれと つらつらと)
第20号(03.04.01) ●防衛サロン(「新たな生活様式」における架け橋)
令和2年 第18号(02.10.01) ●防衛サロン(「自ら国を守る」意識情勢の機運)
第17号(02.07.01) ●防衛サロン(海の向こう側で見える事)
第16号(02.04.01) ●防衛サロン(桜戦士の神髄)
令和元年 第14号(01.10.01) ●防衛サロン(平和を守る戦いに殉ず)
●特別寄稿(令和元年度北方四島交流事業に参加して)
第13号(01.07.01) ●防衛サロン
第12号(31.04.01) ●防衛サロン(最近の中国軍の動向について)
平成30年 第10号(30.10.01) ●防衛サロン(矛盾)
平成29年 第 6号(29.10.01) ●投稿(ありがとう、自衛隊!)
第 5号(29.07.01) ●防衛私観(北方領土を考える)
令和3年
防衛サロン
「防衛の礎」つれづれと つらつらと
東京都防衛協会会報第21号(03.07.01)掲載

東京都防衛協会 特別会員 音楽家 つのだ☆ひろ
 言葉や活字の時代から、動画や耳から入る音が主流になった今の時代に、ひたすら体力・気力を高めて、何が来ても慌てず堂々とした立振る舞いが出来る若者達を育てているのが自衛隊である。その自衛隊も一昔前とは違って、被災地に駆け付けて人命を救う姿がテレビに映し出され、これ等の活動が多くの人から賞賛され、何か有った時の自衛隊の存在が大いなる安心を国民の心の中に育て占めた。
 しかし、自衛隊はただの災害救助部隊で無く、その本質は「国を防衛する為の軍である」という事。「有事の際には武器を取って戦う」という崇高な役割を背負っている事が重要な点である。普段から鍛えて無く、武器の使い方も知らない我々一般国民は実際には何も出来ないのが現実。そんな事も分からず自分勝手な意見を垂れ流す輩は、体験入隊でもしてみるといい。自分の無力さを痛感し、自衛隊の素晴らしさが理解出来る筈である。口先の言葉は実行に敵う訳が無いのである。
 私は過去に2回、武山駐屯地に有る少年工科学校(現在の陸上自衛隊高等工科学校)の卒業式典に出席する機会を得た。「起立」という号令に一糸乱れず立ち上がる様子は必見、体育館の床がその一瞬、ズンと沈み込んだ気がする程だった。初めて見た時は驚きと共に感動さえも覚えた。「まだまだ日本は大丈夫。いざとなったら自衛隊が居てくれる」と感じたのである。
 しかしながら、日本の法律では自衛隊は軍隊ではなく自衛の為の隊。攻撃を受けてからでないと反撃すら出来ず、誰かの命が失われてからで無いと武器の使用も認められない存在。このような法律は人命軽視そのものと感じてしまう。「死ぬ迄そこで待っておけ」と言うようなもの。ましてや体力・気力が旺盛で、どんなにきつい労働にも怯む事の無い訓練を受けた防人を簡単に死地に追いやる事は国家の損失である。更に軍隊であるべき自衛隊を「セルフディフェンスフォース」と言い換える事は国家の安全保障上の損失とも言える。しっかリとそして早急に法整備を進めないと危険な状態を長引かせる事になると思わざるを得ない。平和を維持するには相手にこちらを恐れさせる抑止力も重要である。
 我が国周辺には核弾頭搭載可能なミサイルを装備し、我が国に照準を合わせ、いつでも発射可能になっていると思える国が複数ある。逆に日本は長距離のミサイルすら持って無い状況である。一日も早く長射程の国産トマホークの完成を願わざるを得ない。
 尖閣諸島には武器搭載型の外国公船が我が国の排他的経済水域は元より、領海付近、時として領海中まで侵入して来ている。武装した敵に対して海上保安庁の巡視艇もある程度の武装はしているものの、その武器を殆ど使用せず放水ホースで相手に挑む海上保安官の苦悩は如何ばかりかと思わざるを得ない。これが世界の国々なら、コーストガードでもそれ相応の武器を積載して適切に使用するのが常識である。国境の警備は海上保安庁が遠く国境線付近まで丸腰に近い装備で出かけるのを止めて、法を整備した上で海上自衛隊が行うのが穏当だと思っている。
 世界中から最も安全な国と賞賛を受けている我が国が、この先もこのような国であり続けられるように、私つのだ☆ひろは「正しい事を正しく知り、国を守り、国益を考え、国民が一丸となって歩んで行くための教育や道徳の在り方を今一度見つめ直して、『防人の礎』を築く事への努力とその為の協力を惜しまず、今後の人生を歩んで行きたい」と思っている。
防衛サロン
「新たな生活様式」における架け橋
東京都防衛協会会報第20号(03.04.01)掲載

東京都防衛協会 理事長 武内誠一
 昨年のこの欄で、「桜戦士の神髄」と題し「和」について思いを伝えた時には、新型コロナウイルスの影響がここまで長引くとは思いませんでした。ワールドカップの熱狂を受けての国内ラグビーの盛り上がりを期待しておりましたが、練習すらままならぬ状況が続きました。
 この一年間、私たちの生活は大きく変わり、多くの場面で「対面」「接触」が難しくなりました。仕事ではテレワークが推奨され、営業活動すらオンラインに移行しています。多くの人が集まるイベントは開催が難しく、大人数での懇親会や旅行も自粛せざるを得ない状況です。
 これらの「新たな生活様式」は自衛隊も同様であり、記念日行事、定期演奏会等が中止もしくは規模縮小となり、部隊研修は受け入れてもらえない状況が続いています。また、自衛隊でもオンライン会議が多く実施されているようです。
 一方、ワクチンの接種が始まり治療薬も実用化されつつあり、多くの制約も徐々に解除されていくと思われます。しかし、新型コロナウイルスが終息したとしても、「新たな生活様式」の流れは止まることも逆流することもなく、より加速されると思われます。
 このような環境の中で、私たち防衛協会は「市民と自衛隊の架け橋」としての役割をどのように果たしていけばいいのでしょうか。 昨年5月、富士総火演は「非公開」で実施され、演習全般が「ライブ配信」されました。総火演のライブ配信は数年前から実施されておりましたが、今回初めて視聴いたしました。大変鮮明な画像で、隊員個々の動作や砲弾の破片効果まで観ることができ、スタンドから観るのとは違う楽しみ方ができました。
 自衛隊の理解のために「部隊研修」は重要です。「対面」「接触」がなくとも「現地研修」しなくとも自衛隊の理解が進む重要な手段があることを、総火演のライブ配信を観て確信いたしました。 今、防衛省、各幕、各部隊はHPを公開し動画を含む多くの情報を提供しています。タイムリーにそして軽易に情報を入手できるこれらの手段を大いに活用して、自衛隊を理解しあるいは自衛隊を応援することに取り組んでいきたいと思います。
 また、将来的には、オンラインでの防衛講話や自衛隊員との意見交換等も実施できればと思っております。そのためには、インターネット等を活用できる環境が必要です。当協会の全ての方がインターネットやオンラインの環境にあるわけではありません。特に年配の方にはややハードルが高いかも知れません。当協会は今までの手段を継続しながら、インターネットやオンラインを活用した通信・情報提供を逐次取り入れていくつもりです。皆さんと共に「新たな生活様式」に向けた第一歩を踏み出します。
令和2年
防衛サロン
「自ら国を守る」意識情勢の機運
東京都防衛協会会報第18号(02.10.01)掲載

東京都防衛協会特別会員 新宿区防衛協会副会長 大野髙裕
(早稲田大学理工学術院教授)
 私が亀田宏司様のご紹介で東京都防衛協会に個人会員として入会させていただきましたのは、昨年度ですのでまだ新参者です。にもかかわらずこのコーナーに執筆させていただく機会を賜りましたことに、心から感謝申し上げます。
 少し前までの私は「自ら国を守る」ことは当然のことと考え、心の中では自衛隊の皆さまが国民を守ってくださっていることに、敬意と感謝の念を抱き続けてきましたが、それを形で示すことができませんでした。
 戦後教育を受けた者たちにとって、国の防衛という話はタブーであり、防衛はアメリカの核の傘にお任せという感覚で生きてきました。マスコミの論調も国防=軍国主義のような扱いで、マスコミ自身による言論統制が今でも行われているように思えます。
 しかし、ここ数年で顕著となった東アジアの情勢、米中の抜き差しならない対立を目の当たりにすると、「安全と水はタダ同然」という日本的な考えが、もはや成り立たないことは誰の眼にも明確になっています。
 今さら手のひら返しのように、自衛隊の皆さまを頼りにするというのは虫が良すぎますが、今からでも遅くない、自衛隊の皆さまを私たちが精神的支柱となってお支えさせていただくことが、日本にとって本当に必要なことだと痛感しています。
 最近ではこちらから話を持ち掛けなくとも、私の周りの40代以降の子供を持った人たちは、自分の方から国を自らが守ることの重要性を語るようになってきました。そして貴会のことを話しますと喜んで入会してくれます。
 昨今の世界情勢を見て、自分の子供たち世代はどうなってしまうのだろうという強い危惧から、誰しもが国防のことを真剣に自分事として考え始める時代が到来したのだと思います。
 そういう意味でこれからの防衛協会の役割は極めて重要なものになると考えます。
 私も身近なところから、自ら国を守る意識と行動を採る市井に眠っている仲間を見つけ出して、共に防衛協会での活動を広げていく思いを強くしていますので、どうかよろしくお願いいたします。
防衛サロン
海の向こう側で見える事
東京都防衛協会会報第17号(02.07.01)掲載

東京都防衛協会特別会員 簱智 良久
(昭和産業グループ 代表取締役社長)
 私は今年の始めに仕事の為に、パラオ共和国に二度目の訪問をしました。
 平成天皇皇后両陛下がペリリュー島を中心とした大東亜戦争の戦没者御慰霊の為行幸啓された事で御承知の方も多いと思いますが、パラオ共和国はミクロネシア地域の島々からなる共和制国家で、1994年独立の親日国家です。
 親日の大きな理由として、第一次世界大戦の戦後処理をするパリ講和会議により、ドイツの植民地支配から我が日本の委任統治領となったのですが、我々の先達がドイツ時代には行われなかった学校や病院、道路等のインフラ整備や貨幣経済への移行を親身に行った事によります。
 この訪問時にレメンゲサウ大統領との謁見を戴く機会に恵まれましたが、我々日本人に対する敬意と尊敬の念がひしひしと伝わり、当時のパラオの人達に真摯な態度で臨まれた英霊となられた方々に、新たなる尊敬と敬意の念を強くしました。
 昭和の30年前後に産まれた方々は私を含めて、我日本の歴史を暗黒史としてしか学校では学んでいません。特に台湾や朝鮮半島での統治に関しては、児玉源太郎氏や後藤新平氏もまるで悪人となっています。
 歴史の解釈に於いては、その当時の社会環境や国際環境を抜きには判断が出来ません。残念乍ら全ては善ではありませんでしょうが、全て悪ではありません。
 当時の清国で化外の地とされていた台湾に於いて、上下水道や灌漑の整備、風土病の駆逐等、祖国の整備発展を削って迄成して来ました。
 現地の人達から搾取だけを目的ならば、台北や平城に帝国大学は創りません。現地の人達には教育は無用どころか、将来の禍根の芽を作ります。現地の人達を対等に扱い、人間性を尊重してその関係を築いて来たからこそ、今だに我々日本人に感謝の気持ちを持って頂いているのです。 
 今こそ我々の先達の成して来たことを確りと学び、日本国に誇りを持てる日本人として、日々の生活や行動をすると誓ったパラオ共和国への訪問でした。
防衛サロン
桜 戦 士 の 神 髄
東京都防衛協会会報第16号(02.04.01)掲載

東京都防衛協会理事長 武内誠一
 春、桜の季節です。昨年の秋ラグビーのW杯において、アイルランド、スコットランド等を破り初めてベスト8に入った日本代表たちの胸に咲いていたのも桜でした。
 その躍進の原動力となったのは、昨年の新語・流行語大賞にもなった「ワンチーム」であると、選手やコーチ陣もコメントしておりました。同時に「簡単にワンチームと口にしてほしくない」とも話しておりました。
 彼らは、家族、仕事、自分の夢など全てを犠牲にして、W杯の年だけでも240日に及ぶ合宿でのハードワークを経て、苦楽を共にしたからこそ「家族」になれた、「ワンチーム」になれたと語っておりました。
 そしてもう一つ印象に残ったことがあります。合宿中には、選手とコーチ陣の対立もあり、また選手同士のすれ違いもあった。しかし、その都度話し合いを重ね乗り越えていったそうです。「コミュニケーションが本当に大事だった」と述懐しておりました。「厳しい訓練」と「コミュニケーション」あっての「ワンチーム」だったのです。簡単にでき上がるものではなかった訳です。
 「和をもって貴しとなす」聖徳太子の十七条憲法の冒頭の言葉として有名な「和」というこの言葉は、日本人の精神を表す言葉としてよく引用されます。しかし、この「和」というものをただ単に、争いを避け、他に迎合することと捉えているいる方が多いような気がします。
 この「和」という言葉をもう少しひもとくと、「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」(論語)の言葉に行き着きます。孔子は、「和」と「同」を区別して考えています。つまり孔子における「和」は、相手に簡単に合わせることではなく、相手をよく理解し、互いの相違を認め合ったうえで調和することなのです。桜戦士は、この「和」を実践していたのです。
 また、相手をよく理解し互いの相違を認めあうためには、生まれた国も育った環境も文化も違う選手・コーチたちが互いに理解し認めることも重要な要素でした。正に「ダイバーシティ(多様性)」の実践です。 桜戦士たちは、大変な試練を経て、「和」を創り上げ「ビクトリー・ロード」を歌うことができました。桜戦士の言葉に改めて「和」の神髄を感じた次第です。
 自衛隊員たちもまた「和」を求められます。最前線から後方にわたり実に多くの役割を担う隊員が、平素の厳しい訓練を経て、他の隊員たちの役割を理解し尊重し、そして何よりも与えられた自分の職務を全うすることで任務達成に邁進する。そんな自衛隊員を誇りに思い、彼らが胸を張って活動できるよう「市民と自衛隊員のかけはし」としての役割を果たしていきたいと思います。  
(元陸自富士学校長)
平成31年/令和元年
防衛サロン
平 和 を 守 る 戦 い に 殉 ず
東京都防衛協会会報第14号(01.10.01)掲載
元陸自北部方面総監 千葉德次郎
 昨年十月六日、フィリピンで日米比共同訓練参加中の水陸機動団(佐世保市)所属の前原傑(すぐる)二等陸曹(38歳)が殉職されました。概要は、現地時間二日昼、訓練支援中のフィリピン人男性運転の車両がスービック海軍基地近くで大型車と衝突。食料調達任務で乗車中の自衛官二人が現地の病院に救急搬送され、中央輸送隊(横浜市)所属の男性一等陸曹は骨折の重傷を負ったが、その日に退院。前原二曹は意識不明の状態で治療を受けていたが、六日深夜に死亡が確認されたものです。
 皆さんは、「日本は、今現在、国を守るために戦っていますか?」という問いに、何と答えますか。私は、「戦っている真最中です。」と答えます。戦いというと、敵の攻撃を阻止し、或いは侵攻した敵を撃破するために撃ち合うことを思い浮かべますが、実務としての国の守りとは、引き金を引くだけではなく、相手に刀を抜かせず、引き金を引くスキを与えないことであり、平和な状態を維持することです。
 今、将棋の藤井聡太七段(17歳)の活躍が注目されています。彼が、14歳から数々の棋界記録を書き換えた時、先輩棋士たちが「藤井君にはスキがない。欠点がない。」と評しました。その言葉を聞いて、戦いに生きるプロというものは流石の言い方をすると感じたのは、「藤井君は強い。」と言わず、次の一手の余地、すなわちスキがないと表現したことです。
 国の守りも同じではないでしょうか。平和とは寝転がってのほほんとして得られるものではなく、国益を侵害するあらゆる脅威に対して、常日頃から国家機能を総動員して寸分のスキの無い備えを維持することにより得られるものです。国家間の相互依存が拡大深化した現在、どの国も一国では自国の安全を守ることはできません。『国家安全保障戦略』や『防衛計画の大綱』に示すように、先ずは我が国自身が主体的・自主的な努力で守り抜くという意思を示すとともに、日米同盟や各国との安全保障協力の強化により、国内外での抑止の態勢に万全を期すことが必要です。  新たな部隊を南西諸島に配置して一歩も譲らないという国民の決意を明示するなど、官民挙げて総合的な防衛体制を確立し、あるいは、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配等の普遍的価値観を共有する諸国と共同訓練を行うことは、平和を守る戦いの一端です。陸自隊員が海外訓練参加中に事故で亡くなったのは初めてですが、同僚達は仲間の死を乗り越えて任務を完遂し、抑止力強化に貢献しました。
 翻って、このように平時から「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって国民の負託に応える」隊員やその家族に対して、国民は相応の処遇を与えているでしょうか?憲法改正や恩給制度の復活も含めて、防衛協会など各協力団体のなお一層の奮起が期待されます。
 湾岸戦争の教訓でもあるように、平和とは祈りや金銭的貢献のみで得られるものではありません。一周忌を迎えられた故前原一曹(特別昇任)の殉職は、平和を守る戦いの礎であり、まさに戦死というべきでしょう。ご冥福を祈念申し上げます。(合掌) (東京都防衛協会常任理事)
特別寄稿
令和元年度北方四島交流事業に参加して
東京都防衛協会会報第14号(01.10.01)掲載

元海自・自衛艦隊司令官 海将 松下泰士
 この度、幸運にも機会を得て「令和元年度北方四島交流事業」に参加することになった。
 今回の研修で訪問したのは、色丹島と択捉島で、国後島には出入域手続きのため古釜布港沖に仮泊しただけだった。途中、急患の発生により最終日の日程が取り止められたが、天候に恵まれたことも幸いして総じて大いに実りあるものであった。
 7月4日(木)夕刻、根室において結団式及び事前研修会が実施された。事前研修会ではオリエンテーションが実施されたのち、択捉島出身の女性と北方領土問題に詳しいジャーナリストから講話があっ た。
 7月5日(金)朝、交流船「えとぴりか」に乗船し、根室市長等根室市民に見送られて根室港をあとにした。
 根室港を出港したその日の午後、国後島古釜布沖に投錨して国境警備隊員により入域手続きを受けた。簡易ではあるが実質的な入国手続きであり、屈辱的ではあった。この思いは、古釜布沖に至る前の通過点(4328N14546E)通過時に「えとぴりか」のメインマストに掲揚されたロシア国旗を見たときにも感じた。
 入域手続きを受けた同日夕刻、色丹島穴澗港外に投錨、翌7月6日(土)、早朝に抜錨して穴澗港の桟橋に係留した。初めて踏む北方領土である。
 上陸後ただちに最初の研修場所である水産加工場建設現場に徒歩にて向かった。その後、文化会館にて現地住民との交流プログラム等を経て、斜古丹に移動した。斜古丹では、85柱が眠っているという日本人墓地に参り、その近くにある学校等を見学したのち、数店ある商店を見て歩き土産少々を購入した。
 その後、旧ヘリポートに移動して斜古丹の街を鳥瞰し、穴澗に戻った。ここで地元のロシア人関係者と交流夕食会が催され、歌と踊りとウオッカで大いに盛り上がった。夕食会終了後は、穴澗港に移動し「えとぴりか」に乗船、択捉島に向かった。

商店(豊富な品揃えにビックリ!)
 7月7日(日)早朝、択捉島内岡(ナヨカ)沖に投錨、朝食後、2グループに分かれて艀にて上陸した。ここでは、紗那墓地の清掃・墓参、現地ロシア人との料理での交流、オダイバケ温泉見学及びホームビジットが行われた。  紗那墓地には、日本人330柱が埋葬されているほか、ロシア人も埋葬されている。ロシア人の墓地は鉄柵で囲われ、写真が焼き付けてられている墓標もあった。

ウクライナ人女性の    リードで踊る団員
 択捉島は、色丹島と異なり、かなり広範に道路は舗装されており、海岸沿いの高台を巡る道路に沿って遊歩道が整備されつつあるなど、投資の順は明らかに北海道から遠い順であることがよく分かる。
 北方領土では、すでに4世代に該当するロシア人が生活し続けており、更に投資が進んでいるだけではなく、ロシアが、択捉、国後に1個師団規模の兵力を置き対艦ミサイル部隊まで配備している状況下、この問題をどう我に有利に解決すればよいのかを考えると呆然としてしまう。
 一日早く根室に戻り、根室市内を1時間半ほどかけて歩いてみた。歩道はカートを引きづらいほど傷んでいた。新しい建築物はほとんどなく人通りもまばらだった。そこで思ったのは、先ずは道東の活性化の必要性だった。
 双方向の交流がなされていると聞く。ロシア人に魅力ある道東を見せる必要があるのではないか。サハリン経済圏より道東経済圏を選ぶようになる方策もいいのではないかと思った。

ダイニングキッチンで交流
(東京都防衛協会 常任理事)
防衛サロン
隗 よ り 始 め よ !
東京都防衛協会会報第13号(01.07.01)掲載

元陸自幹部学校長 西 浩德
 昨年の7月は記録的な大雨により、西日本を中心に大規模な河川の氾濫や土砂災害が多発し、広島、岡山、愛媛県など14府県で死者・行方不明者合わせて229名にのぼる最悪の豪雨災害となりました。この災害に対し自衛隊は、最大時33,100名、28隻の艦艇、38機の航空機を投入し、人命救助、給食・給水・入浴等支援、物資輸送や瓦礫の処理に当たりました。
 テレビ等の報道では、泥まみれになって懸命に活動する隊員の姿に賞賛の声が上がり、自衛隊に対する期待が一層高まりました。一方私は『災害派遣においては敵の弾が飛んでくるわけではない。どうか危険な目にあわないよう安全第一でやってくれ』と思っていました。
 言うまでもなく自衛隊の最も大事な任務は、「国防」です。このため自衛隊は、わが国に侵略する敵を撃退できるよう、平素は部隊・隊員の戦闘能力を高め、精強な状態に維持するために訓練をしています。これを通じ隊員は、戦場で生き残り、熾烈な火力戦闘で敵を撃破できる戦闘技術を身に付けるだけでなく、体力や気力、何よりも使命感や責任感を身に付けていくわけです。こうして鍛え上げられた隊員が、敵弾が飛んでこない災害派遣現場で活躍をするのは当然のことで、むしろ平素の厳しい訓練を積んでいなければ、災害派遣現場での活躍は期待できないかもしれません。
 災害現場で懸命に働く姿に国民は自衛隊に高い信頼を寄せていますが、自衛隊の最も重要な任務である「国防」のため日夜働いている姿には、さほど関心を寄せていません。自然の脅威と災害派遣は報道で見ることもあり想像できるが、我が国が侵略されるような事態は、映画の中でしか起こり得ないし、イメージアップしにくいからでしょう。中には憲法9条の問題もあり、考えたくもないという方も結構いらっしゃいますし、戦争になったら自衛隊にお願いすると、まるで他人事のような考え方をする人も散見されます。
 しかしながら我々が本当に関心を持つべきは「国防」であり、そして自衛隊で賞賛すべきは、生起するかさえも分からない各種事態に対し、日夜警戒活動にあたり、日々黙々と練成し、一朝有事になれば身の危険を顧みず国民の負託に応える覚悟を持って勤務し、「抑止」の一端を担っている隊員達だということをご理解いただきたいのです。
 平素精強な軍事力を持ちそれを鍛えることは、国家を戦争状態に陥れないようにすること、即ち相手に「抑止力」を効かせることであります。我が国に対する脅威は、相手国の意思と軍事力からなりますが、この意思を相手に持たせないことが極めて大事なのです。そのためには自衛隊が持つ軍事力のみならず国家の総力を抑止力の発揮にむけて機能させなければなりません。「抑止力」=「相手に耐え難い損害を与える軍事力」×「軍事力を運用する制度」×「国を守る国民の総意」と考えると、「国民を守る国民の総意」が1より小さいということは、極めて深刻な問題です。国防は、他人事ではありません。自分の国は自分で守る重要性をしっかりと認識し、自衛隊の活動を応援することこそが重要だと思います。 
 「隗より始めよ」と故事にあるが如く、先ずは我々からこの意識を持ちましょう。
(東京都防衛協会常任理事)
防衛サロン
最近の中国軍の動向について
東京都防衛協会会報第12号(31.4.1)掲載

佐 藤 ま さ ひ さ
( 外務副大臣 参議院議員 )
 「東京都防衛協会」の皆さん、いつも御世話になっております。
 日頃よりの皆様のご支援に心から感謝申し上げます。
 さて、昨年の年末から年始にかけて中国軍に関するニュースがいくつかありましたので、今回のコラムではそれらの報道について取り上げてみたいと思います。
 まず、驚いたのは、電磁レールガンが2025年にも中国艦艇に配備されるではないかとのニュース。電磁レールガンの弾丸の速度は音速の7.5倍で、射程距離も最長約200キロと言われています。火薬を使う従来の砲よりもコストが安く、米軍艦艇の5インチ砲の射程距離が約24キロであることを考えると、圧倒的な性能です。実際に配備されれば、戦場を根底から覆す「ゲームチェンジャー」となる兵器と言えます。
 同じく中国海軍の話題としては、新型の潜水艦発射弾道ミサイル「JL(巨浪)3」の発射実験を11月下旬に渤海湾で行ったとの報道もありました。発射実験では渤海から中国内陸の射場に向けてミサイルが発射されたようです。JL3の射程は9000~1万4000キロ前後とみられ、中国近海から米本土の全域を射程に収める可能性があります。
 さらに、通常兵器では最大の威力を持つ爆弾「大規模爆風爆弾(MOAB)」の中国版の実験が行われた様子が、中国国営の軍事企業のウェブサイトで公開されました。大型爆撃機H6Kから投下された大型爆弾が地上で爆発する映像でしたが、場所や日時などの詳細は不明でした。
 また、中国がロシアから購入した最新鋭の地対空ミサイルSー400の試射成功のニュースもありました。Sー400が中国の沿岸部に配備されれば、台湾を完全に射程圏内に捉えることから、台湾海峡の制空権を中国が取りにきているという姿勢はあきらかです。
 一連のニュースは、米国と貿易交渉を行っている中国が、「中国は米国に負けない」という対抗する意識を国内外に喧伝し、中露の軍事的な協力関係も国際的にアピールする目的があるものと考えられます。
 中国は「製造2025」という国家プロジェクトで、情報技術産業やロボット、航空宇宙、船舶産業、新材料、バイオ・医療など10大重点分野に集中投資し、建国100年を迎える2049年に「世界の製造強国の先頭グループ入り」を目指しています。
 民生分野のみならず軍事分野にも応用可能な技術も多いことから、米中の貿易摩擦の背景には、世界の技術覇権を狙う中国とそうはさせないという米国との覇権争いがあると見てよいでしょう。
(東京都防衛協会相談役)
平成30年
防衛サロン
矛 盾
東京都防衛協会会報第10号(30.10.1)掲載

特別会員 籏智 良久(昭和産業グループ 代表取締役社長)
 矛盾とは御承知の方も多いと思いますが、中国の楚の国の韓非子の故事にある一商人の購う矛と盾に倣った論理の整合性の無さを伝える諺です。詳細な意味等は紙面の関係上省かせて頂きますが、普段何気なく我々が使っている言葉の一つであると思います。
 矛とは主に攻撃に使用する武器で、盾は攻撃から守る事を主とした道具とした場合、現在の我々日本人が置かれた状況に鑑みると、世界第五・六位の軍事力を保持していながら、憲法上軍隊を持つ事に関しては不保持と明記されています。其の上交戦権の放棄と文字上の聞こえは良いのでしょうが、実際の戦闘・戦争行為にもハーグ条約やジュネーブ条約に制限が明記されており、それら各国が順守すべきルールを一方的に従わないと主張していると受け取られかねない文言になっております。 
 戦争の放棄といいましても、他国に侵略行為を行わないは是としても、侵略された時に一体誰が盾の役割を担うのでしょうか。日本国憲法は日本国に籍を置く者のみが順守を義務としているものです。他国の人に我々はこういった憲法を順守していますので判って下さいと頭を下げても、彼らには我が国の憲法になんら義務も持っていません。
 残念ながら我が国は地政学上まるで朝鮮半島やアジア大陸を蓋をするような位置に在しています。先日友人から頂いた沿海州や朝鮮半島から太平洋を見た地図を見ると、大陸側から見た我が国は正しく日露戦争の発端となった当時のロシアの不凍港の開設と、艦隊等が太平洋に出る思惑にとっては、目障りな蓋です。現在も海底資源の目的とハワイ以西を傍若無人に我が領海を目論む中華人民共和国の海洋進出にとっても、尖閣諸島・沖縄を始めとする我が国の領土は、目障りな蓋です。
 夫々の国には独自の文化と伝統が息づいており、それらを大切に国内の安定と成長を図りながらも、対他国とはお互いに文化と伝統を尊重しながら宥和及び共存を目指しています。そんな中、中華思想で東夷・南蛮・西戎・北狄とまるで世界の中心は自分達で、一切他の国に対して敬意も払わず独歩する国が極近隣に在しています。  盾も矛も持たず、国内で軍備や核の議論をすることにもヒステリックに反対を唱えていて、一体我が国の将来はどうなってしまうのでしょうか。
 外交とは武器を持たない戦争であり、戦争とは武器を持った外交であるとの故事もあります。 軍隊どころか国の根幹である憲法も独自のものを持たず、アメリカが何とかしてくれるだろうでは、悠久の歴史をもった我が国を守ろうと身命を賭した先達になんと顔向けができるのでしょうか。
 天は自ら助くる者を助くの言葉の様に、人任せの国に対してアメリカは絶対に自国の国民の血は流しません。我が国だって同じではないでしょうか。そんな状況下自衛隊員の方々は国防を担いながら、自らの身を削って災害派遣までこなして頂いております。
 一日も早く彼ら自衛隊員の方々に、我ら日本人全員が敬意と尊敬の眼差しを向けられるような日が来る事を念じ、拙文を閉じさせて頂きます。
東京都防衛協会会報第8号(30.4.1)掲載
平成29年
投稿 千代田・中央防衛協会 会員 秋田耕治郎
ありがとう、自衛隊!
東京都防衛協会会報第6号(29.10.1)掲載
 私の自衛隊に対する 想いの原点は、中学一 年生の時の経験にあり ます。私は昭和 36 年瀬 戸内海の小豆島で生ま れ、高校卒業までの 18 年間を島で過ごしまし た。
 その間に島は二度 の台風による大災害に 見舞われました。特に 無防備であった最初の 時は、人的被害も大き く、町が受けたダメー ジは壊滅的なものでし た。
 時は昭和 49 年7月6 日。午後から降り続い ていた台風8号による 雨は夜半より豪雨とな り島のあちこちで鉄砲 水となって民家に押しよせたのです。中でも 山あいの傾斜地にある 小さな集落では、避難 する間もなく多くの人 が土砂にのまれていき ました。

懸命の捜索
 行方不明者 29 人、負傷者多数、町の家屋の多くが倒壊もしくは床上 浸水という絶望的な状 況のなか、翌朝には自衛隊第一次派遣隊が到 着しました。彼らは、 炎天下、物資を運び、 生存者を救出し、行方不明者を懸命に捜索してくれました。跡形もなく流された家の住民を捜索するのは大変な作業です。自衛隊を中心とする捜索隊は行方不明者 29 人を全員見つけだし、そのご遺体を家族の元へ届けてくれたのです。その 中には、私と同級生の女の子二人も含まれていました。
 あれから40 余年。当時の自衛官の皆さんの多くは既に退官しておられるかと思いますが、 元島民の一人として、 この機会に、もう一度、 心を込めて申し上げた いと思います。 「ありがとう、自衛隊!」
防衛私観 東京都防衛協会常任理事 伊藤俊幸 
北方領土を考える
東京都防衛協会会報第5号(29.07.01)掲載
 北方領土は、二つの「宣言」で考えるべき問題だった。  一つは一九五六年の「日ソ共同宣言」。日ソは戦争状態を脱し、「平和条約締結」後「歯舞」「色丹」二島は返還されると合意された。しかし一九六〇年、日米安保条約改定に反発したソ連は、「平和条約締結」は「他国軍隊の日本からの撤退が条件」と言い出し、それ以降「日ソ間の領土問題は解決済」となってしまった。  
 もう一つは一九九三年、ソ連崩壊後の新生ロシアとの間で締結された「東京宣言」。 ここで六〇年以降のソ連の態度は否定され、五六年宣言の「平和条約締結」と「二島返還」が確認され、更に「領土問題」とは「択捉」「国後」も含めた「四島の帰属問題」と再定義された。
 よく「二島先行か」「四島一括か」と問題になるが、「四島『一括』」には言及していない、というのが日本政府のスタンスだ。重要なことは、戦後七〇年以上を経て、日露間に不可侵を約束する「平和条約」がないのは普通の状態ではないということだ。
  
国後島「友好の家」前の筆者      択捉島温泉           択捉島文化会館
 筆者は昨年九月十五日から「ビザなし交流」で「国後」「択捉」を訪問し、マスメディアを通じてではわからない本当の姿を垣間見る機会を得た。
 「択捉」は、道路の舗装は進みカラフルな建物が建ち、着実に「ロシア化」が進んでいる。現島民は二五年以上続く「ビザなし交流」の結果、日本・日本人のことは大好きで、一緒に生活しても良いと思っている。
 一方高齢になった元島民の方々も現島民とは顔見知りで、今や北方領土問題に対する要望の第一は「自由往来」で、「現島民と共同生活」しても良いという。七十年間何も動かなかったが、「今度こそ具体的に何とか動かしてほしい。」のだ。
 昨年十二月十六日、安倍総理とプーチン大統領は、平和条約締結に向けた「新しいアプローチ」を発表した。ポイントは、「北方四島での共同経済活動の実施に向けた協議の開始」「元島民の北方四島への自由往来の拡大」「八項目の経済協力計画の着実な実施」だ。 「またロシアに騙される」という意見もあるが、「経済協力計画」は、日露信頼醸成のため、ロシア本国で「民間企業」が行う枠組みだ。
 他方「共同経済活動」は、国境画定がなければ本来不可能な平和条約交渉だが、北方領土を「日露両国民が共存できる島」と位置づけ、“どちらの国の法律にも服さないで生活できる枠組みを考え出してみよう”、帰属をあえてあいまいにし、バッファーゾーンにしたままとする新たな試みだ。
  安全保障面から観るなら、オホーツク海は、米国との核戦争に備えたSLBM(第二撃能力)を隠し置くロシアの聖域だ。北方領土はこれを守る南端の島であり、残念ながら日本への返還は極めて困難だろう。
 「元島民の悲願」「複雑な安全保障環境」に加え、どんな結論であろうとも生じてしまう“反対勢力”という「政治的リスク」。北方領土は、現在の両国首脳のような「強い政権基盤」の時にしか解決できない問題であることは間違いない。

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最終更新:03.07.01