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東京都防衛協会は、防衛意識の普及高揚を図るとともに、自衛隊を激励支援してその充実発展を助長し、わが国の平和と繁栄に寄与することを目的とした民間の組織です。

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●平成28年7月1日から、東京都防衛協会は、全国防衛協会会報から独立して「東京都防衛協会会報」を発刊しています。各地区協会に係わる記事は、それぞれの地区紹介各ページに掲載し、ています。
●防衛協会会報の東京都関連記事記事を、会報の号ごとに掲載しています。なお、各協会に関連する記事は、地区紹介ページにも併せて掲載しています。

平成29年 平成30年 平成31年/
令和元年
 令和2年
令和2年  第15号(02.01.01)  ●防衛豆知識(宇宙・サイバー・電磁波)
平成31年/令和元年 第14号(01.10.01) ●防衛豆知識(領域横断作戦)
第13号(01.07.01) ●防衛豆知識(イージス・アショア)
第12号(31.04.01) ●防衛豆知識(新大綱および中期防について)
第11号(31.01.01) ●防衛豆知識(能 力 構 築 支 援)
平成30年 第8号(30.04.01) ●防衛豆知識(水陸起動団)
第7号(30.01.01) ●防衛豆知識(陸自大改革へ!)
令和2年
防衛豆知識
宇宙・サイバー・電磁波
東京都防衛協会会報第15号(02.01.01)掲載
 前号で領域横断作戦について述べました。今回は現在の大綱において強調されている新たな領域である宇宙・電磁波・サイバー領域について、具体的な例を示し解説します。
 今年9月14日、サウジアラビア東部の石油生産プラントが、巡航ミサイルとドローン攻撃によって大きな被害を受けた事件は記憶に新しいところです。
 誰が攻撃を行ったのか、サウジアラビアの防空態勢は機能したのかなど、様々な点について明確になっていないが、この攻撃は現代における軍事作戦のひとつの典型と言えます。
 巡航ミサイル及び無人機による攻撃でしたが、先ずは目標設定について考えてみましょう。北朝鮮による弾道ミサイル発射にしても、その兆候を含め発射場所、形態などは全て宇宙領域にある偵察衛星によって捕捉されています。  
 何処から発射されたのか不明ですが、巡航ミサイルが長距離を飛翔し、設定された目標を正確に爆撃し、攻撃を成功させています。巡航ミサイルが自らの位置を測定しながら指定された目標まで飛翔することは可能ですが、目標まで精密に誘導され攻撃を成功させるには、風等の影響により生じる誤差を補正するGPS衛星を活用した誘導が不可欠となります。このGPS誘導は車載のナビゲーションを使っている方ならば、その精度の高さをご承知のことと思います。 (※安全保障分野における宇宙利用のイメージは下図を参照してください。)  
 次に、攻撃を受けたサウジアラビアの防空網はなぜ目標を捕捉できなかったのでしょうか?あるいは巡航ミサイルや無人機はどのようにして防空網を回避できたのでしょうか?防空の鍵は敵の発見であり、そのためにはレーダーにより探知する必要があります。防空網を潜り抜けることができたということはレーダーに探知されなかったということであり、公表されている映像から巡航ミサイルも無人機もステルス性を有しているとは考えにくく、攻撃側が何らかの手段でレーダーを破壊したか、サイバー攻撃により防空システムを機能しないようにしたか、あるいは妨害電波を発信してレーダーが捕捉できないようにした可能性があります。
 いずれにしても攻撃においてサイバー領域、電磁波領域で同時に攻撃を行った可能性が高いと思われます。 この例が示しているように現代の兵器や兵器システムは、コンピュータを使いネット・ワーク化され、また誘導、探知、指揮統制の為に電磁波を使っており、陸上・海上・航空の戦力に加えて宇宙、サイバー、電磁波の領域を駆使して攻撃や防御を行うことが現代戦の特徴となっています。
安全保障分野における宇宙利用のイメージ

令和元年防衛白書から抜粋
常任理事 吉田浩介  (元空自 補給本部長)
平成31年/令和元年
防衛豆知識
領 域 横 断 作 戦
東京都防衛協会会報第14号(01.10.01)掲載
 昨年末に決定された防衛計画の大綱において、多次元統合防衛力を構築することが打ち出されました。

➤多次元統合防衛力は、全ての領域における能力を有機的に融合し、その相乗効果により全体としての能力を増幅させる領域横断(クロス・ドメイン)作戦により個別の領域における能力が劣勢である場合にもこれを克服すること、そして平時から有事までのあらゆる段階における柔軟かつ戦略的な活動を常時継続的に実施すること、更には日米同盟の強化及び安全保障協力を推進することが可能な性質を有する防衛力と定義されています。

➤領域はドメインと訳され、企業などでは事業活動を行う範囲を指します。安全保障分野では活動する空間あるいは脅威が存在する空間と定義付けられ、従来は陸上、海上、航空それぞれの軍種が作戦を遂行する領域として、陸上ドメイン、海上ドメイン、航空ドメインの3つのドメインが存在していました。

➤近年、新たな脅威が出現してきました。例えば、衛星を活用して情報収集したり、そのような衛星を攻撃する衛星やミサイルが出現してきています。情報通信分野ではサイバー攻撃と称されるインターネットを介してコンピューターシステムを混乱させたり、保存しているデータを抜き取ったり、更に通信手段やレーダー等のセンサーに対して妨害や欺瞞を行ったり、宇宙、サイバー、電磁波スペクトラムも新たなドメインとして捉えられるようになりました。

➤より遠くで、かつ、早期に発見・撃破するために、衛星を活用して、装備品をネットワークとして連接し、軍事目標だけに精密誘導する必要があります。また自己を防護するために電磁的に欺瞞、攪乱、回避を行う必要もあります。宇宙領域やサイバー領域などの新たな領域を使用しないと作戦は遂行できないようになってきています。 ➤防衛計画の大綱を受けて決定された中期防衛力整備計画では、これらの新たな空間を主たる作戦領域とする部隊、例えば、航空自衛隊に宇宙領域専門部隊や共同の部隊としてサイバー防衛部隊を創設することが盛り込まれました。
常任理事 吉田浩介  (元空自 補給本部長)
防衛豆知識
イージス・アショア
東京都防衛協会会報第13号(01.07.01)掲載

常任理事 吉田浩介 (元空自補給本部長)

➤ 平成5年(1993)5月29日、北朝鮮が1発の弾道ミサイルを発射し、日本海に着弾したことを契機に、各種の調査・研究が開始され、平成15年(2003)我が国の弾道ミサイル防衛システムの整備等について安全保障会議及び閣議で決定。態勢整備が開始されました。

➤ 我が国の弾道ミサイル防衛は、現在のところ、イージス艦による上層での迎撃とペトリオットのPAC-3による下層での迎撃を自動警戒管制システム(JADGE)により連携させて効果的に行う多層防衛を基本としています。

➤ 海上自衛隊はイージス艦を6隻保有していますが、BMD能力を有しているのは4隻です。BМD能力を有していない2隻を改修し能力を付与する一方で、平成27年度及び28年度に2隻を追加取得し、令和2年度(2020)には8隻体制となります。

➤ イージス艦に搭載されているミサイルについて、迎撃可能高度や防護範囲を拡大させたBМD用能力向上型迎撃ミサイル(SM-3ブロックⅡA)を日米共同で開発し、配備に向けた事業が推進されています。

➤ 平成29年(2017)12月、これらの施策に加えて、イージス・アショア2基を導入し、これを陸上自衛隊において保持することが決定されました。

➤ イージス・アショアは、BМD対応型イージス艦のBМD対応部分、即ちレーダー、指揮通信システム、ミサイル発射機などで構成されるミサイル防衛システムを陸地に配備した装備品であり、大気圏外の宇宙空間を飛翔する弾道ミサイルを地上から迎撃する能力を有しています。1基の取得価格は約1340億円が見込まれています。

➤ イージス艦はそもそも艦隊の防空を主たる役割とするために導入されたものであり、弾道ミサイル対処に専属させておけません。また整備・補給が必要であり、港に寄港する間は警戒待機に隙間が生じることとなります。更には長期間の洋上勤務が繰り返されることにより隊員の負担が増大します。これら諸問題を解決するため『新たな盾』としてイージス・アショアが導入されることになりました。

➤ イージス・アショアの導入により、我が国を24時間、365日、切れ目なく守るための能力を抜本的に向上させることが出来ます。また隊員の負担も大きく軽減され、更にはイージス艦を本来の任務である海洋の安全確保任務に戻すことが可能となり、我が国全体の抑止力向上に繋がることが期待されています。

➤ 配備候補地は、防衛省が行った検討の結果、秋田県の新屋演習場と山口県のむつみ演習場が選定されています。昨年6月、それぞれの地元に対して説明が行われました。(了)

防衛豆知識
新大綱および中期防について
東京都防衛協会会報第12号(31.4.1)掲載
 昨年12月18日の閣議で、「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について」(新大綱)及び「中期防衛力整備計画(2019~2023年度)」(中期防)が策定されました。  
1.新大綱、中期防及び2019年度予算の関係ですが、図表1のとおり、新大綱では2019年度以降おおむね10年程度の期間における防衛力のあり方と保有すべき防衛力の水準を規定し、中期防では直近5年間の経費の総額と主要装備の整備数量を明示し、2019年度予算は中期防の初年度予算になります。



2.新大綱は、“我が国の厳しい安全保障の現実(図表2)に正面に向き合い、従来の延長線上ではない真に実効的な防衛力の質及び量を必要かつ十分に確保していく必要がある。



特に、宇宙・サイバー・電磁波といった新しい領域については、我が国の優位性を確保することが死活的に重要となっており、陸・海・空という従来の区分に依拠した発想から完全に脱却し、全ての領域を横断的に連携させた新たな防衛力の構築に向け、従来とは抜本的に異なる速度で変革を図っていく”との考えの下、〈多次元統合防衛力 〉を構築することとしています(図表3及び図表4)。





3.新大綱を受けて、中期防では①宇宙・サイバー・電磁波の領域における能力の強化を図るとともに、②従来の領域における能力を強化するため、・F35戦闘機45機を整備(うち18機はSTOVL型)、・F35(STOVL型)を搭載するいずも型護衛艦の改修、・スタンド・オフミサイルの整備、・イージス・アショア2基の導入などが盛り込まれました(図表5)。5年間の予算総額は約27兆4700億円となり過去最高を更新しました。



【2019年度の防衛予算案として5兆2574億円(前年度当初比1.3%増)が国会で審議されています。(3月12日現在の状況です。)】
(東京都防衛協会顧問 渡邊元旦)
防衛豆知識
能 力 構 築 支 援
東京都防衛協会会報第11号(31.1.1)掲載
 防衛省・自衛隊は、平成24年から、アジア太平洋地域を中心に、14ヵ国・1機関に対して、自らが有する能力を活用して、次のような形で能力構築支援に積極的に取り組んでいます。
 昨年11月に開催されたパプアニューギニアでのAPEC首脳会議及び閣僚会議では、自衛隊の演奏能力向上支援を受けた同国の軍楽隊が演奏を披露しました。
(1)対象  他国の軍又は軍関係機関
(2)分野  人道支援・災害救援、地雷・不発弾処理、防衛医学、
       海上安全保障、国連平和維持活動等
(3)形態
  ◯ 自衛官等を一定期間派遣しての教育訓練
  ◯ 自衛官を派遣しての短期間のセミナー
  ◯ 防衛省・自衛隊関連部隊・機関等への研修員の受け入れ等
(4)意義・目的
  ◯ 以下を通じて、国際安全保障環境の安定化・改善を図り、ひいてはわが国の安全の確保を図る。  
   ① 支援対象国が自ら国際安全保障環境の安定化・改善に貢献すること  
   ② 支援対象国との関係強化
   ③ 米国や豪州をはじめとする他の支援国との関係強化  
   ④ 国際社会におけるわが国の信頼性の向上
  ◯ 自衛隊の能力の向上を図る。


  
演奏能力向上 パプアニューギニア(2017.5.13 ~ 7.8)  
                排水溝構築能力向上 モンゴル(2017.8.20 ~ 9.1)
平成30年
防衛豆知識
水陸機動団
東京都防衛協会会報第8号(30.4.1)掲載
 
 平成30年3月に新たに編成される水陸機動団(いわゆる日本版海兵隊)は、万が一島嶼を占拠された場合、速やかに上陸・奪回・確保するための本格的な水陸両用作戦を行うことを主な任務とする陸自が初めて保有する本格的な水陸両用作戦部隊です。
 西部方面隊直轄部隊である西部方面普通科連隊を基盤に、3個連隊を基幹(3個連隊目は検討中)に編成され、約3,000人(当初2,100人)規模の部隊となる予定です。この3個連隊の内、主戦力となる第1連隊は、西部方面普通科連隊を発展的に改組し団本部と共に佐世保市(相浦駐屯地及び海上自衛隊佐世保地方隊崎辺地区)に拠点を置くとされ、第2および第3連隊はそれぞれ700人から900人規模の部隊となる予定。
 各連隊の編成は本部中隊、水陸両用車(AAV)中隊、ヘリボーン中隊およびボート中隊(強襲戦闘偵察用ボートを装備)からなるとされています。その他に作戦を支援する各種部隊が編成されます。(下図を参照)
   尚、戦闘上陸大隊は、AAVを装備し、特科大隊は、120ミリ迫撃砲を装備する予定です。
常任理事 武内誠一
防衛豆知識
陸自大改革へ!
東京都防衛協会会報第7号(30.1.1)掲載
 明けましておめでとうございます。
 わが国周辺では今年も昨年に引き続き北朝鮮の核・ミサイル開発、中国の南シナ海や尖閣諸島周辺における国際法を無視した行動等厳しい情勢が続くと思われますが、そのような情勢及び大規模な災害等に適切に対応するべく、陸上自衛隊は、本年3月末までに陸上総隊を創設することになりました。
 「陸上総隊の創設」  陸上総隊は現在5個ある方面隊の上に編成される部隊です。  
 防衛大臣は統合幕僚長を通して各自衛隊に命令・指示を出しますが、海自部隊については自衛艦隊司令官に、空自部隊については航空総隊司令官に命令等を出すことによって海・空全部隊を指揮しています。
 一方、陸自部隊についてはそれぞれの方面総監に命令・指示を出していますが、陸上総隊創設後は、陸上総隊司令官に命令・指示すれば陸自全部隊を指揮できることになります。
 同時に、これまでは各方面隊がそれぞれ海・空自衛隊や在日米陸軍と調整を実施していましたが、これからは陸上総隊が直接実施することになります。 これによって陸上部隊の運用がより迅速・柔軟になるとともに陸・海・空自衛隊及び米軍間の調整が容易になります。
 司令部は陸上自衛隊朝霞駐屯地(東京都)に設置されます。
 自衛隊は2006年に統合幕僚監部を発足し、防衛大臣が陸海空部隊を統合して運用できる体制になりましたが、陸上総隊の創設によって統合運用の態勢が更に充実されることになりました。
(渡邊常任理事)

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最終更新:02.01.30